海南市防災訓練
執筆者:奥田和真
2019年9月20日(金)・21日(土)に海南市防災訓練に参加してきました。ここでは、その訓練の内容、様子や私が感じたことなどについて報告をさせていただきます。 まず、海南市防災訓練の概要は以下の通りです。
防災訓練概要
訓練目的
海南市は少子高齢化が進み様々な問題を抱えおり、大規模地震が起きた後の支援者として大きな役割を担う地域外の学生や専門家と、被災前から地域課題を共有し、訓練や話し合いなどを通じて「顔の見える関係」を構築し、地域力をより強化する。
訓練地
-
海南市塩津地区(人口487人、227世帯)
-
海南市大崎地区(人口444人、193世帯)
参加者
地域住民と学生、専門職、一般ボランティア、地元小・中学生、地域外の学生(高等学校、高等専門学校、大学、大学院に在籍している方)
訓練想定
南海トラフ巨大地震発生。約40分後に津波第一波が到達。避難所では避難者であふれ、在宅避難者も多数存在。発災時より、地域住民が協力し災害対応を行っているが、十分な公的支援が得られない状況。発災3日後に海南市災害ボランティアセンターを開設。発災5日後には、和歌山県内外からボランティアが駆け付け始める。
スケジュール
- 2019年9月20日(金)
-
講座
1.1. 講座
1.2. 学生交流
- 2019年9月21日(土)
-
訓練
2.1. 朝食紹介
2.2. 海南市防災訓練
2.3. 昼食紹介
-
地元中学生への防災教育支援
(以上の概要は、海南市が作成した海南市防災訓練の資料より抜粋し、部分的に編集したもの)
ここから、上記のスケジュールに沿って紹介していきます。
1. 講座
1.1. 講座
一日目(20日)は、まず、海南スポーツセンターで次の日に実施される訓練に向けての具体的な説明などを主催者の方からお聞きました。また、翌日の訓練の場所である塩津地区と大崎地区の区長さんからそれぞれの地域がどのような地域かも説明していただきました。
1.2. 学生交流
この企画には全国各地から大学生が参加しており、説明の後、他大学の方々と交流会の機会を設けていただきました。
自分が所属している団体について紹介して、どのような活動をしているかなどのお互いの情報交換などができ、とても刺激的な時間を過ごさせていただきました。交流会の企画・運営をしてくださった和歌山信愛大学の皆様、ありがとうございました。
2. 訓練
2.1. 朝食紹介
二日目(21日)の朝食は非常食のアルファ化米ワカメご飯を食べました。ワカメが効いていておいしかったです!!早朝から私たちより早く起きて朝食の支度をしてくださった明石工業高等専門学校の皆様、本当にありがとうございました。
↑朝食のワカメごはん
2.2. 海南市防災訓練
朝食後、バスで移動して防災訓練をする大崎地区・塩津地区に向かいました。そこでは学生、一般ボランティア、地元の中学生・小学生がグループになり、訓練に参加しました。避難所に避難している人が大勢いて、在宅避難者の方々もいるという想定でした。
訓練内容としては、私のグループでは避難所で聞き取り調査を行い、その結果を総括しているボランティアセンターに報告しました。実際に、避難者の中には骨折などで負傷されている格好の方もいました。調査したことは以下の通りです。
-
氏名と住所
-
体の調子、生活している中での不安や問題はあるのか
-
食事はとれているか
-
睡眠は十分にとれているか それらの答えには、「暗い中では怖いのでよく眠れない。」、「食欲がない」などがありました。実際、被災者の方の中には当時の緊張状態が続き、恐怖から立ち直るのが難しい人もいらっしゃいます。そんな時に、被災者に寄り添うボランティアの存在が大切なのだと感じました。
他にご年配の方で「私は足腰が悪く、床に座ることができない。座るものが必要だ。」と回答された方もいらっしゃいました。避難所には物資は十分にそろっていない可能性があり、その都度ボランティアの助けを借りることになります。もし私が被災者になった場合、ボランティアに状況を伝えるために自分が何を求めているのかを把握しておく必要があると思いました。
↑訓練の様子
2.3. 昼食紹介
ボランティア訓練終了後は昼食で、現地の住民の方々が炊き出しでカレーライスを作ってくださいました。疲れを取ることができました!ごちそうさまでした!!
↑炊き出しのカレーライス
3. 地元中学生への防災教育支援
訓練と昼食後、大学生だけで下津第二中学校へ移動し、中学生と防災学習を行いました。ここでは、大学生3人と中学生7人で班を構成し、
-
東日本大震災を振り返って感じたこと
-
南海トラフ地震の発生前・直後にできること
について話し合いました。今年(2019年)、東日本大震災から8年が経過しました。現在の中学生は当時まだ幼かったため、今では大震災を知らない、もしくは忘れているかもしれません。そのため、中学生が当時のことを知って、今後の防災について考えていくことは重要です。
さて、大学生の役割は、もちろん意見を出しますが、中学生がお題について意見を出すようサポートすることでした。上記のお題に関して、意見を書いた付箋を大判用紙に貼りつけて班内で意見交換しました。
↑話し合いの結果(1)
↑話し合いの結果(2)
上の2枚の写真は、私が参加した班の話し合いの結果を撮影したものです。(用紙が大きすぎて2つに分けて撮影しましたが、部分的に文字が認識できない箇所があります。ご了承ください。)
上半分は「1、東日本大震災を振り返って感じたこと」、下半分は「2、南海トラフ地震の発生直前・直後にできること」についてで、左側に発災前、右側に発災後について書かれています。青色付箋には大学生の意見、黄色・ピンク色付箋には中学生の意見が書かれています。さらに、見やすいように意見のグループ分けを行いました。
以下に、「南海トラフ地震の発生前・直後にできること」への中学生の意見をグループ別で示します。
-
発災前にできること
- 話し合うこと
- 家族と普段からどこに避難するか考える
- 災害後に自分たちができることを考えること
- 持ち出し袋
- 食料や水などの備蓄をたくさんしておく
- ハザードマップの確認
- ハザードマップなどを見て避難場所などを確かめる
- 避難ルール
- 事前に避難ルートを確認することが大切
- 家族で非常時はどこに逃げればいいのか、どこで合流するのかをかんがえること
- 近所の危険なところや避難所になるところを知っておくこと
- 避難訓練
- 被災地のボランティアなどに行って、どんなことが起こるのかを知ること
- 話し合うこと
-
発災直後にできること
- 避難所での助け合い
- 小さい子供や高齢者の方の避難を優先し、ひとつでも多くの命を守ることが大切
- 幼い子のお世話をする
- 避難所でのお手伝い
- 避難所での他の避難者と助け合いを重視する
- 呼びかけ
- 人の体調が大丈夫か心配してあげる
- 避難所でも災害関連死に注意し、呼びかける。
- 伝える
- 今までに起こった災害を伝えていくこと
- 災害を今に伝える
- 地域との関わり
- 地域の人と協力し合う
- 地域と人と協力して、町を復興させる
- 地域の一員として自分にできそうなことはする
- 避難所での助け合い
生徒は皆、積極的に意見を出してくれました。その中で、発災直後の「地域との関わり」の意見で具体的に何をするのかが、他と比べて詳しく述べられていないように感じました。大規模地震の経験などが少ない中学生にとっては、被災したとき地域が何を求めるのかイメージが難しいのかもしれません。防災訓練や地域行事に参加し、地元の方と交流することで被災後に必要とされることが何か見えてくるかもしれませんね。
まとめ
今回、訓練に参加してボランティア訓練の必要性に気づきました。もし私の住んでいる家が被災したとき、他の地方のボランティアの力を借りなければいけないかもしれません。その時に、ボランティアの方にどこへ連絡して、どのように連絡するのかを知らないと十分な支援を受けられず、損をしてしまいます。事前に訓練して経験を積んでおけば、災害が起こってもどのように対応すればよいかわかります。皆さんも一度災害ボランティアに参加してみてはいかがでしょうか?
さまざまな方々のおかげで充実した2日間を過ごせることができました。海南市の皆様、そして今回交流を深められた大学生の皆様に感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。